HACCP制度の義務化について
HACCP(HazardAnalysisCriticalControlPoint)は、日本語では危害要因分析重要管理点と訳され、食品加工および製造時における食品の安全性を保持・向上するための衛生管理方法です。
この衛生管理方法は、アポロ計画にて宇宙食の安全性を高める事を目的に米国内で初めて導入され、その後世界各国に普及しました。現在では国際的な基準として認知されています。管理方法は、まず危害を及ぼす要因を、病原微生物などの生物面、残留農薬や消毒剤等の化学面、金属片等の物理面に分類します。その後、原料の受入、製造、出荷に至る全工程で分類した危害要因を低減・除去するための方法を定義します。
世界各国で導入が進められている一方、日本のHACCP導入率は低い水準にとどまっています。これは、中小の食品加工・製造事業者において、資金面や人材確保面の問題が深刻であることが原因と想定されます。2018年に交付された改正食品衛生法では、HACCP制度の義務化を進めることが決定しています。
高齢者世帯や海外からのインバウンド旅行者の増加といった、食品を摂取する人々の多様性の進展が、この方針決定を後押ししたようです。制度導入にはコストがかかる反面、メリットもあります。海外企業との食品取引を行うためには、基本的にはHACCP制度が基準となるため、海外との取引の円滑化、さらには海外拠点の構築を迅速に行なえることにもつながります。